フルートについて

フルートについて

フルートに対する考え方をまとめてみました

三浦洋介とフルート

■いつから始めている?

中学校1年生から。

■始めたきっかけは?

たこ焼き。友人から「たこ焼きあげるからブラバン入らない?」の一言で。

■何故フルートになったか?

男子校でフルートがいなかった。共学なら確実にチューバでした。

■どこが好き?

高い音で目立つ。持ち運びが楽。近所迷惑が最小限に留められる。

■フルートを続けたのは何故?

特に理由は無し・・・。自分が音楽に触れるにはフルートしか吹けなかったから。

■フルートで好きな曲は?

ノブロのメロディ。いろいろ変わる景色が好き。

■フルートで嫌いな曲は?

アルルの女のメヌエット。小難しいから。

■フルートを吹いていて一番良かったことは?

友達がたくさん出来た。

■フルートを吹いていて一番辛かったことは?

クリスマスの夜空の元、薄着で吹いた。

楽器の選び方

■どこのメーカーを買えば良い?

自分が気に入ったフルートが一番です。周囲の人が「あそこのメーカーが良い」とか「あそこのメーカーが有名」とかいろいろな情報は入ると思いますが、必ず自分で吹いて気に入った物を買ってください。他人が良くても自分は駄目というのが結構あります。ちなみに僕は基本的に楽器は衝動買いです。楽器屋さんに遊びに行って良いものがあったら即お持ち帰りします。

■対応が良い楽器屋さんで買う

国産の新品はどれも品質が高く素晴らしい楽器ばかりです。楽器の個体差は若干にしろあるとは言え、それよりも重要なことは買った楽器屋さんが丁寧なリペアをしてくれるかどうかです。リペアが悪ければどんなに良い楽器でも良い音は出ません。「プロだから丁寧に」、「素人で気付かないだろうからほどほどに」、というスタンスの楽器屋さんは遠慮しましょう。でも一番最初は分からないですよね?こればかりは仕方ありませんからクチコミなどを頼りに探すのが無難かと思います。もちろん接客の様子も参考になりますよね。

■中古楽器は買っても平気?

ほとんどの楽器屋さんでは中古の楽器も在庫していると思います。同じモデルでも値段が6割くらいとなると、心揺れる人もいるかもしれません。僕は揺れます。ただ良く調べて買ってください。安く買えても短い使用期間でオーバーホールに何万円もかけなければならない事になるかもしれません。良識ある楽器屋さんなら、どこに問題があって、このような理由があるからこの値段ですと言ってくれると思います。ちなみに僕の生徒さんには中古楽器をオススメしています。安いが何よりですから。

■初めてフルートを吹くけど幾らぐらいの楽器を買えば良いの?

僕は迷わず「一番安い楽器を買ってください」と言います。安いと言ってもちゃんとしたメーカー製の物です。今のところ僕の記憶ではヤマハが最安値だった気がします。洋白銀メッキ製の物です。各メーカー8万円前後で買えるのではないでしょうか。理由ですが、楽器ってすごく高価ですよね?でも初めてなんで買った後一生続けられるか分かりません。だったら一番安いフルートでまずは練習した方が良いのではないかと思います。また、今後続けるにしてもアマチュアのほとんどの方が総銀製のフルートを使っています。でもこちらは50万円以上・・・とても最初から手が出せる金額ではないです。どうせ買い換えるなら中途半端に銀を使用しているものより、まずは安いのからと考えた方が経済的負担は軽くなります。逆に買い替えのときは思い切って総銀製を買いましょう!もしお金が足りなかったら買うのを少し我慢して貯めてから買った方が後悔しなくて済みますよ。

■頭部管だけ別売りしているけどどうなの?

大手メーカーをはじめ、頭部管だけ製作している職人さんの物も多数あります。ではどうなんでしょう?買い替えても良いと思います。ただし気に入れば。フルートの中心部は頭部管といっても過言ではないです。頭部管で音色の根本が決まります。ただ必ず自分の楽器に装着して試奏するようにしてください。楽器によっては頭と体のバランスが悪くなり響かなくなったりもします。必ず試奏することが大事です。ちなみに僕は頭部管の付け替えは一度も考えたことはありません。オリジナルの構成が一番しっくりくる気がします。

■素材はどれが一番良い?

この項は結論から言います。「素材の価格=音の良し悪し」とは成り立たないです。フルートの素材はだいたい3種類に分かれます。金、銀、洋銀の3つです。どれも特徴があり一概に金属の価格と音色の良し悪しとは比例しません。高価な金属ほど音は重厚になりますが、重厚が良いかと言うと、これは個人の感性次第です。僕は洋銀(洋白)の音色はとても好きです。軽く爽やかな音が、フルートっぽいなぁとも思います。モイーズも晩年は洋白の楽器を使用していたみたいですしね。またプラチナや木やカーボン、変り種では陶器などもありますが、これもお好みです。ただし今まで書いたものは前提として、全て同じ職人さんが作ったらの話です。職人さんが違えばもちろん音も違います。素材を生かすも殺すも職人さん次第であり、奏者次第なわけです。
以下、僕が思う特徴を書いておきます。
●金製 重厚。強く逞しい感じ。
●銀製 柔和。穏やかに温かい感じ。
●洋白製 爽快。明るく軽い感じ。
●木製 濃密。コシもあるが機敏な感じ。
前述した「初めての楽器は・・・」の項目では総銀製が良いと書きましたが、現在市販されいる楽器のほとんどは残念ながら、10万以下の楽器とハンドメイドと名が付く楽器に作りの差があります。やはりハンドメイドと名の付く楽器のほうが洗練されている感じは否めません。ごくわずかですが日本でも洋銀製のハンドメイドを作っている製作会社もあるみたいですので、調べてみてはいかがでしょうか?

フルートの扱い方 -注意事項-

■衝撃に弱い

落としたりぶつけたりしては駄目です。自転車の前籠に載せるなんてありえないです。
もしそのような事故が起きてしまったら、すぐに楽器屋さんに持って行きましょう。一箇所キーのバランスが狂うと無理にキーを押してタンポをトーンホールに密着させようとします。そうなるとタンポの寿命が縮まりますよね。また連動するキーにも影響が出てきます。

■キーに余計な力を加えない

力任せにキーメカニズムを押してはいけません。曲がったりする原因になります。組み立て・分解時には管を持って行なってください。決してキーメカニズムに力を加えないようにしましょう。

■掃除(拭き方)

キーの項目にも書いたように余計な力を加えてはいけません。必ずキーを軽く押して固定してから拭くようにしましょう。またキーや管体は変色してもさほど音色には影響しませんが、ジョイント部分は必ず拭いてください。埃などの異物が付着したまま楽器を組み立てると、傷が付き抜けなくなる原因や摩り合わせが悪くなる原因になります。
また手に汗をよくかく人はこまめに楽器を拭いてあげて下さい。メカニズムの部分に汗が侵入すると錆びの原因にもなり、キーの動きが悪くなります。

■掃除(棒)

必ず貫通させましょう。一度入れた物を引き抜くと中でからまり抜けなくなる可能性があります。

■キーオイル

必ず注さなくてはいけません。金属が磨耗してしまいます。ただし点け過ぎはよくありません。一滴で十分かもしれません。また、まだ管体内部にオイルが残っているかもしれません。もし量が分からない、注す場所が分からないなどがあれば迷わず楽器屋さんにお願いしましょう。知らないで自分でやると後悔します。

■半年に一度は楽器屋さんで点検してもらう

人間と同じように定期健康診断は大事です。病気が深刻になる前に診てもらってください。後で重大な病気が見つかり莫大な長期入院費用がかかるかもしれません。僕が使っているルイ・ロットという楽器は125年以上も前の楽器です。フルートは丁寧に扱えば親子何代にも渡って使用する事が可能です。

フルートの良い音とは? -音の概念-

■フルートにとって良い音とはどのようなものでしょう?

「広がる音」「飛ぶ音」「息のノイズが少ない音」「太い音」「スカスカしていない音」などいろいろありますよね。どれが正解?どれも正解だと思います。よく質問されるのが、「息の音が混じって音が汚いのだがどうすれば良いか?」というものです。普通に考えれば、息の音がするのは無駄な息が多いから。ならば、口の穴を絞って省エネで吹くのが一番の回答でしょう。でもちょっと待ってください。実際に質問者の音を聴いてみると音がとても細く小さいです。細い音でなおかつ口の穴を絞ったらどうでしょう?より細く小さくなるのは目に見えています。
そう!順番が大事なんです。
求める音は皆さんいろいろあるとは思います。僕の最初の考えは息の音がしても太くなくてはいけない。そして響かなくてはいけない。まずは楽器を鳴らすことに専念しましょう。
どのような教則本にも書いてありますが、フルートの唄口は2/3以上開いていますか?また口を「イ」の形にして潰していませんか?丹田で息を支えていますか?頭部管を内側に回しすぎていませんか?よくよく自分を観察してみてください。
楽器を鳴らすことが第一条件です。しっかりと鳴らしてあげれば音程も合ってきます。フルートは精密機械です。ミリ以下の単位で設計されています。ちゃんとした吹き方をすれば音響工学上ほとんどの音程は合うはずです。頭部管を1cm以上抜く必要もありませんし、高音域を吹く際、楽器を内側に回すなどしなくていいはずです。

■ロングトーン練習が音を良くする練習と言われています。

僕もそう思います。ではロングトーンで何を求めるか?全ての楽曲に対応できる音色の礎を作ると言うことです。抽象的な概念で色を当てはめるなら白や透明ですね。赤や青や黄の音でロングトーンを吹いては駄目です。例えば情熱の赤の音しか出せない人がブルーな曲を吹くと色が混じって紫になってしまいます。(正確には紫にならないとは思いますが・・・)自分が欲しい色と違う色の音が出るのはちょっと嫌ですよね?前述した例を当てはめるなら・・・枯れ枝(茶色)を伐採しても新緑の音は出ないと言うことです。まずは枯れ枝を瑞々しくしてあげるのが大事なんです。

音の出し方 -音を出す時の注意事項-

■唇に力を入れない

柔軟な唇こそ音色の宝庫です。最初は「イ」の口の形で練習するかもしれませんが、慣れてきたらどんどん 力を抜いて、本来自分が持っている自然な口の形にしましょう。

■喉・口を開ける

開ける事によって音が太くなります。喉は欠伸をした感じや低い声を出した感じで。口は中いっぱいに食べ物が詰まっているように。

■オヘソの下(丹田)に力を入れる

実際の息の源は肺です。でも肺を意識するのではなく、丹田が源であると思ってください。決して胸や喉や口ではありません。そこで息が作られ、首と同じ太さの管が細くならず唇まで伝わっていると思うと良いかもしれません。丹田はちょっとやそっとの力では抑え切れないくらい力を入れてください。ただし体全体に力が入ってしまうのには注意が必要です。

■息のスピードは出来るだけ遅く

上記に書いたとおり、太い管を通るゆっくりで大量の息が理想です。細い管を通る速くて少量の息はあまり良い音はしません。

■良い姿勢で

下を向きながら吹くと喉が絞まりよくありません。譜面台の高さを調整して、真っ直ぐ前を向いて練習しましょう。また猫背やふんぞり返っても丹田に力が入らず、また体の余計な部分への負担も出てきますので、しっかりと両足に重心を乗せ吹いてください。

■音1個ずつにポイントがあります

低音域は息を下向きに入れ、高音域は上向きに入れます。(実際は違うかもしれませんが思うことが大事です)低音域と中音域はほとんど指使いが一緒ですよね?息の強さでオクターブを変えていませんか?理論的には低音域より中音域の方が小さな音が出ないということになってしまいます。高音域になればそれは悲惨な事になるでしょう。音1音ごとに正確なポイント見つけて吹いてください。もちろん上記の事柄を踏まえて吹かなければなりませんよ。

■顎は柔軟に

先に述べたポイントの話と唇の話の結果が顎です。息の角度を変えるには顎の運動が不可欠です。また唇が固いと顎は動きません。

フルートの基礎練習方法 -2つの柱-

フルート(楽器)を上達する上で避けては通れない道・・・それは基礎練習です。どんなに上手い人でも必ず基礎練習はしかっり行なっています。もちろん、行なわなくても音は出ますし曲は吹けますが、やったとやらないでは将来大きな違いが出てきます。また基礎練習を行なうことによって、初見力も自然と身に付くと思います。よって、楽曲の練習時間が大幅に短縮することが出来て、尚且つ任意のフレーズを表現する事が容易になると思われます。僕の考えでは下記の2つの練習をすることによってこの世に存在する大半の曲が吹ける気がします。

ロングトーンの練習方法

非常に地味で退屈な練習だと思います。でもこれが音楽をやる上での第一歩です。

■注意事項はただ1つ。良い音で吹く!

太く、響く音が出るように細心の注意を払い音を出してください。基本はH(シ)の音。マルセル・モイーズの「ソノリテについて」では中音域のHから練習するようになっていますが、低音域のHから練習しても構いません。僕のやり方は若干アレンジして、8拍でやっています。H→B(シ♭)、B→A(ラ)、A→Gis(ソ♯)・・・とテンポ60で各音4拍、計8拍伸ばしていきます。またこれを2回必ず繰り返します。

■なぜ半音ずつ下がっていく(上がっていく)のか分かりますか?

HとBはほとんど同じ吹き方で均質な音を出すことが可能ですよね?フルートでは全音域に渡って均一な音質を出すことが良しとされています。HとBはイコールですがHと最低音のC(ド)はなかなかイコールでは出ませんよね?これを半音間でイコールに結んでいけば全ての音でイコールになると言う、最も簡単な算数の理論と一緒です。算数のようにはなかなかいきませんがね。

■なぜ2回繰り返すか分かりますか?

過ちや失敗を反省するためです。音を出してみて「ちょっと細いなぁ」などと思ったら繰り返しのときに修正をして1回目より良い音を出すように心がけましょう。

■せっかくだから良い音で出す以外にも複合技を取り入れてみよう

上記で8拍音を伸ばすと書きましたが、それに付け加えて「休み無く、呼吸は短時間で」というのも取り入れてみましょう。管楽器の最大の強みでもあり弱みでもあるのが呼吸です。この呼吸を思いのままに制御する事が良いフレーズへの一歩です。どうしても呼吸は長い時間をかけて取りたいですよね。でもここで甘えてはいけません。短い時間(テンポ60で8分以内、出来れば16分以内)で100%肺に空気を充満させるような気持ちで呼吸してください。最初はとても苦しいですが、慣れてくれば楽曲にも応用できるはずです。

スケールの練習方法

タファネル・ゴーベールの完全なフルート奏法第2巻(吉田雅夫訳・解説)を使います。譜面を見た事が無い人はちょっとびっくりするかもしれません。「難しいそう・・・」「出来ない・・・」などいろいろネガティブな感想が出ると思います。でもこの本とっても大事です。僕もウォーミングアップで毎日やっています。
でもそもそもスケールとは何を狙った練習なんでしょう?「指を速く回すため?」「♯・♭に慣れるため?」いろ いろあるかとは思いますが、僕の中では「速いパッセージの中で任意の音が出せるようにする練習」と考えています。つまり音色を犠牲にしてスケール練習をしてはいけません。あくまでもロングトーンの延長線上にスケールは存在します。音が矢継ぎ早に変わるロングトーン練習だと思って頂ければ結構です。
また、音の滑らかな連結も重要な要素です。最初のうちは2度での進行ですが、ページが進むにつれアルペジオなど3度・5度以上の課題も出てきます。音が跳躍してもフレーズを崩すことなく演奏出来るようにするのも狙いです。
そしてスケール練習の副産物として、「指が速く回るようになった」「♭・♯にへこたれない」「低音域の音量が出るようになった」「初見力が上がった」「リズム感が良くなった」が出てきます。

■まずは一番最初の「毎日の練習1(EX.1)」をやりましょう。

テンポ60、全てテヌートで。もし60でも吹けなけれ ばテンポを落としても構いません。がしかし、必ずメトロノームに合わせましょう。妥協してはいけません。必ず良い音で正確にやる事が重要であり、少しでも妥協したならばそれは時間と体力の浪費にしかなりません。ブレスは一段ごとにです。その他余計なところで吸わないようにしましょう。理由はロングトーン練習と一緒です。

■EX.1のテンポ60が出来たなら80に上げてみましょう。

上げるまでに1年かかる人もいるかもしれません。1週間で出来てしまう人もいるかもしれません。期間は関係ありません。毎日コツコツとやる事が大事です。そうすれば確実に上手くなっていくのですから。また80になったらシングルタンギングと同時にダブルタンギングの練習もしましょう。注意事項は一緒です。メトロノームに正確に合わせ、テヌートで吹くようにして下さい。

■次に「毎日の練習4(EX.4)」をやってみましょう。

テンポ80で。ブレスは2小節ごとに。こちらも注意事項は    EX.1と全く一緒です。EX.4は1オクターブの距離を往復しなければなりません。顎を柔軟に使い高音にいくにつ れ、音が細くならないように気をつけましょう。どんなに息が苦しくても余計な所で息を吸っては駄目です。音 が出なくなっても息は出ると思います。息を最後まで吐き続け、決められた場所でブレスをするようにしましょ う。これが後で効いて来ます。

■あとはテンポをどんどん上げていきましょう。

ここまで出来るとかなりの曲が楽に吹けるようになっていると思います。そして同時に「毎日の練習5(EX.5)」「毎日の練習10(EX.10)」もオススメです。EX.5は副産物としてワルツを吹くときに有効になりますし、EX.10は低音域の音量増大・高音域の音質改善に効果が出てきます。

■上記の課題がテンポ140まで上がってきたらすごいです。

たぶんこの世に存在するほとんどの曲が吹けるようになっているはずです。後は自分で苦手な課題を見つけいろいろな課題に挑戦していきましょう。難しい曲をその都度一生懸命練習するより、はるかに実力が上がると思います。

■スケール練習は焦らないことが大事です。

フルートは後期高齢者になっても吹ける楽器です。時間は沢山あります。出来なかったら出来るまでやってください。どんな人でも根性と忍耐があれば必ずいずれ出来るようになる練習です。気長に毎日コツコツやっていく事が何よりも上手くなる方法です。

ヴィブラートの練習方法

■気長に焦らずやることが大事です。

ヴィブラート(ビブラート)ってなかなか出来ませんよね。そして昔言われたのが「ロングトーンもしっかり出来ないのにビブラートなんか出来るか!」と。でも今の僕はそうは思いません。これを習得(練習)することによって「お腹を使う」という事が覚えられる気がします。また習得したあかつきには歌心がもっと付くのではないかと思います。
では具体的に何をするか。まずは「音量をコントロールするには」の項目をご覧下さい。こちらのテンポ60で4分音符分の3連符まで音が曲げられるようになったら以下に続いてください。
あとは少しずつ音量の幅(波)の速さを上げていくだけです。もし速くしていく段階で波が尖り、アクセントのようになってしまったらスピードを落としてください。もちろん波の落差は最大限付けてください。凪では波にはなりませんから。またヴィブラートは曲想に合わせた任意のスピードで出来なければなりません。速くすれば良いというものではなく、遅くてもしっかりとしたヴィブラートが出来なければなりません。この練習を休み無く15分くらい続けると、徐々に感覚が分かってくると思います。そしてこれを毎日必ず遅いテンポから練習することが大事です。

波がヴィブラートの速さまで達したら今度はゆっくりな曲で練習してみましょう。最初は音が変わると出来ませんよね?へこたれずに頑張ってみて下さい。メトロノームを必ず使えとは言いませんが、ある程度出来るようになったらメトロノームを使い正確なテンポで演奏できるようにしましょう。

ピッコロの吹き方

■基本に立ち返りましょう。

ピッコロってとても難しいですよね?あれだけ難しいと特殊な吹き方がありそうな気配がしますよね?もしかしたら裏技があって、ちょっとした事を気にすれば吹けると思いませんか?
答えは残念ながら・・・違います。
ピッコロはあくまでもフルートが小さくなっただけです。奏法は全く変わりません。では何故難しいのか?それはフルートよりミスが目立つからだけです。音程が悪いのはピッコロのせいではなく、フルートでも悪くそれが顕著に目立つからです。要はフルートがちゃんと吹けなければピッコロは吹けません。高音域がキンキンする・・・。それもフルートでもキンキンしてるのです。でもオクターブ下だから自分の耳が麻痺していて意識していないだけです。

世界のピッコロ専門奏者の中にはピッコロ独自の吹き方があるとおっしゃる方も多数いらっしゃいます。でも僕は器用でないので2つの楽器を吹き分けることは不可能です。若干の指使いの変更くらいです。ドヴォルザークの新世界なんかたった数小節でピッコロの出番は終わりです。急に変えろと言われても考えている間にフレーズが終わっちゃいます。2つの奏法を見つけるより、1つの奏法を習得して応用した方が無難な気がします。

まずはしっかりとフルートを練習することだと思います。そして尚且つ、ピッコロもしっかりと基礎練習から始める事です。同じフルートでも他人の楽器を鳴らすのはちょっと苦労しますよね?それと同じです。いくら同じフルートとは言え、若干の差はあります。ピッコロにも当てはまります。使う楽器が持っている本来の特性を基礎練習などで理解し吹いてあげる事が上達する一番の近道だと思います。基礎練習は楽器を上手くするという目的の中に、楽器と対話するという目的もあるのです。

レッスンで気付いたこと

箇条書きにしてみました。

■背筋が伸びていない
体を丸めると丹田に力が入らないため駄目。

■フラフラする
これも丹田に力が入らないのと、独創的なリズム感・フレーズ感になるため駄目。

■譜面台の高さを気にしない
練習中低いと下を見ることによって喉が絞まるから駄目。でも本番は優美な姿を見せなければならないから高くしては駄目。

■肘を上げすぎる
とっても疲れるので駄目。脇の下は開けるけど肘は下げます。

■右手小指がふにゃ
速いパッセージが出来なくなるので駄目。必ず緩い弧を描くように構えましょう。

■フルートのお尻がすごく低い
下げると背筋も曲がり、首も曲がるので駄目。基本は水平です。

■力みすぎる
楽にしましょ。

■唇硬過ぎ
良い音出ないから駄目。

■息速過ぎ
音がぺらぺらになるから駄目。音程上ずるし良いこと無いです。

■丹田以外から息を出す
音がしょぼくなるので駄目。

■最初から綺麗な音を求める
これも音がしょぼくなるから駄目。順番があります。

■運指がてきと~
後ですんごく後悔するから駄目。レ♯(Dis)やファ♯(Fis)大丈夫?

■メトロノームを使わない
過去に類を見ない衝撃的なリズムになるから駄目。

■チューナーは神様
自分の耳を鍛えないから駄目。最初は良いけど慣れたら使わないようにしましょう。

■適当にパラパラ吹く
極悪非道な癖が付くから駄目。いくら簡単な曲だからって気合入れて吹かなかったら作曲者可哀想じゃない?

■力いっぱい吹く
非音楽的だから駄目。音色を無視した音は拷問です。

■異国語の意味を調べない
論外だから駄目。今はインターネットがありますから分からない言葉は調べましょう。

■表情記号に頼りすぎ
音楽の幅が狭くなるので駄目。フォルテ1個とってもいろんな意味がありますし、クレッシェンドなどの音量の変化は楽譜に書いていなくてもいたるところに存在します。

■体でリズムを刻む
非音楽的になるから駄目。リズムも大事だけどフレーズも大事です。

■譜面に近寄る
こちらも非音楽的になるから駄目。譜面は見るものではなく覚えるものです。

■息を吸うとき雑音が出る
喉が絞まってるという事だから駄目。短い時間で息を100%吸うのはフルートの宿命です。

■練習をしないでレッスンに来る
苦痛なんで駄目。僕も人間なんで変化していないものを聴くのは苦痛です。

■体動かし過ぎ
音が悪くなるから駄目。動くことは否定しませんが、動きすぎは音色・音程の悪化を招きます。

■考えなさ過ぎ
非音楽的になるから駄目。ちょっとは音楽の事考えましょう。

■考え過ぎ
非音楽的になるから駄目。細かいこと気にしてたら音楽がダイナミックにならないです。

■CD聴き過ぎ
考えなくなるから駄目。伴奏の感じを掴むのは良いが、その人の音楽を上っ面だけパクるのは駄目です。

■フルートしか愛せない
狭くなるので駄目。フルートは音楽を構成する要素ではほんのちょっと。他の音楽にも触れましょう。

■マニアになる
僕が言うことなくなるから駄目。これは負け惜しみです。