良い音を考え続けることは上達の近道になります
フルートにとって良い音とはどのようなものでしょう?
「広がる音」「飛ぶ音」「息のノイズが少ない音」「太い音」「スカスカしていない音」などいろいろありますよね。
どれが正解?
どれも正解だと思います。
よく質問されるのが、「息の音が混じって音が汚いのだがどうすれば良いか?」というものです。
普通に考えれば、息の音がするのは無駄な息が多いから。
ならば、口の穴を絞って省エネで吹くのが一番の回答でしょう。
でもちょっと待ってください。
実際に質問者の音を聴いてみると音がとても細く小さいです。
細い音でなおかつ口の穴を絞ったらどうでしょう?より細く小さくなるのは目に見えています。
そう!順番が大事なんです。
求める音は皆さんいろいろあるとは思います。
僕の最初の考えは息の音がしても太くなくてはいけない。そして響かなくてはいけない。
太い音とは、単純に音を円柱と考えた時に断面積が広い音です。
その断面の中には芯や雑音なども含まれますが、最初は芯は考えなくて良いです。
鉛筆で例えるなら、黒い芯が無く、書けないただの木の棒。
最初は木の棒でもヤスリをかけていない、ささくれだった木の棒だと思います。
手順として・・・
木の棒をまずは太くします。(僕の中では自分の首と同じ太さです)
次にささくれをやすりがけします。
そして黒い芯を入れます。
最後に木の部分の割合を減らし、芯だけにします。
ここまで来たら、たぶん楽器は鳴っています。
雑音があってもかまいません、音程が悪くても構いません、操作性が悪い音で構いません、太い音をまずは目指してください。
太い音が出れば、いずれ雑味が減り響く音に変わるはずです。
どのような教則本にも書いてありますが、フルートの唄口は2/3以上開いていますか?
また口を「イ」の形にして潰していませんか?
丹田で息を支えていますか?
頭部管を内側に回しすぎていませんか?
よくよく自分を観察してみてください。
そして原因が分かると思いますので分析してください。
楽器を鳴らすことが第一条件です。
しっかりと鳴らしてあげれば音程も合ってきます。
フルートは精密機械です。ミリ以下の単位で設計されています。ちゃんとした吹き方をすれば音響工学上ほとんどの音程は合うはずです。
頭部管を1cm以上抜く必要もありませんし、高音域を吹く際、楽器を内側に回すなどしなくていいはずです。
細い音は誰でも出せます。でも、太い音は難しいです。
ならば太い音を出す事を心がけてみましょう。
そしてここからが本題です。
極論を言うと、フルートの良い音とは全ての楽曲に対応できる音色と言うことです。
その礎を築くのが基礎練習です。
抽象的な概念で色を当てはめるなら白や透明ですね。
赤や青や黄の音だけでロングトーンを吹いては駄目です。
例えば情熱の赤の音しか出せない人がブルーな曲を吹くと色が混じって紫になってしまいます。(正確には紫にならないとは思いますが・・・)
自分が欲しい色と違う色の音が出るのはちょっと嫌ですよね?
今のレベルで難しいと思える色(音)を認識し、その色を出すためにどのように練習するかを考えることが非常に大事です。