タイトルの質問に対する答えは・・・
「練習いっぱいしたくないから」
まずスケール練習って何だと思います?
要は楽曲を演奏するにあたって、必要最低限の準備をしておこうって事ですね。
じゃ、楽曲を演奏するにあたって、必要最低限な事は?
音が出るか出ないか。
これが問題なんです!
音って無限にあります。でも、僕らがやる西洋の音はその中で1オクターブを12個で均等に割った、「12平均律」を使います。(純正やピタゴラスはこれが理解出来たらの話かなぁ)
その無限にある中の12個を確実に出さなければなりません。
1オクターブの中にある音はたったの12個。
便宜上よくご存知の「セント」って単位で表すと1オクターブは1200セントの幅があります。
「C」と「D」(長2度)の距離は200。「E」と「F」(短2度)の距離は100。
1~99セントの音は無い(使ってはいけない)ですし、101~199セントの音も無いです。
1200ある音の中から、僕らが使うのは12個のみ。確立1/100(笑)
これが平均律の考え方です。
もちろん実際の演奏ではこの100の倍数に限りなく近く、なおかつ聴いてて心地よい場所に音を合わせます。
音と音との最短距離は100セント。
そしてこの誤差許容範囲は?まぁぶっちゃけ微々たるもんです。
+-20の誤差を許すと、とんでもないことが起きます。
2つの音の誤差は最大幅40。これはもう現代奏法のハーフトーンです。
人間の耳はある基準の音を認識し、それに対しどのくらい距離(セント)が離れているかで、音の高さを認識します。
その基準の音とは、直前の音。
「直前で出ている音に対して、今の音がどのくらい離れているか」です。
ここで余談です。いつも疑問に思うんですが・・・
絶対音感がある方は数セントの誤差も認識できるのかしら?
ユーロ圏のオケと日本のオケでは基準ピッチが違うのはご存知ですか?
ちょっと違うんです。
でも、僕の場合、ぱっと聴いた感じ、全く違和感無く聴けます。
ベルリンフィル・・・いいじゃん♪
ウィーンフィル・・・いいじゃん♪
NHK交響楽団・・・いいじゃん♪
要は、基準ピッチに対し、適切な距離感を感じて演奏するから違和感が無い訳です。
その適切な距離感は万国共通です(一部例外もありますが・・・)
その距離感ってのが・・・100毎の距離なんです。
そして、ようやく本題に戻ります。
その100毎の距離を取る(距離感を体に覚えこませる)練習の1つがスケールです。
別の言い方で言えば・・・
全長12m、1m毎に線を引いたグラウンドで、野球のボールを的確に線の上に投げられますか?
そして最終的にその線が無くても的確に1m単位でボールを投げ分けられますか?かなぁ。
ちと違うかなぁ・・・。
単一のスケールではなく、全調に渡って行うのが効果的です。
何故なら1つの調だけだと、楽器特有の音程が刷り込まれてしまうからです。
完璧な楽器なんぞございません。
必ず高くなってしまう(低くなってしまう)音がないですか?
(グラウンドには小石や凹凸があり、常にフラットではないです)
それってば、距離感を習得する練習には非常に邪魔な存在です。
なので、他の調も演奏して第1音から第8音(オクターブ)まで均一な距離感を刷り込む様にした方が良いのです♪
それぞれの楽器の癖(まぁ演奏者本人の癖の方がウェイトは重いと思いますが)で音程感覚を付けては駄目です。
そして、グローバルな音程感覚を身に付ける上で非常に有効な練習方法が・・・
そう!「全調・全音域スケール練習」です。
100毎の距離感が掴めるよう(線上に投げれるよう)になったら、演奏は劇的に良くなるはずです!(イチローのレーザービーム返球?)
そして、想像できると思いますが、この練習、非常に時間かかります!
でも、やらないと下手なままです。
この他にもあと2点ほど利点があるんですが、それはまたの機会に。